
Project story02
卓上フィルムブックコート機 ”eCoaty”
誕生ストーリー
ダイワハイテックスでは、新しい分野への挑戦を目指し数年前から図書館市場の開拓を進めていました。
市場としてすでに出来上がっている中で、ダイワハイテックスに出来ることは何か。
様々な企画が出ては消えていく中で、着目したのは「書籍のコーティング」という部分でした。
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企画立ち上げのきっかけ
「新しい分野への挑戦」として、数年前から図書館市場について様々な検討・企画・提案を行ってきましたが、どれもなかなか実際の製品へと結びついていませんでした。 そんなとき、図書館ではどういった業務を行っているのだろう?この点をもう一度洗い出して、その中で図書館で働く人の労力が大きい部分をピックアップしていきました。 すると、意外にも「書籍のコーティング」という作業にかける時間が大きいことが分かりました。
「書籍のコーティング」と言うとあまりピンと来ないかもしれませんが、誰でも一度は図書館に訪れた事はあると思います。 この時、本を手に取ると薄いフィルムが貼られている事がほとんどです。これが本を汚れやキズから守る「書籍のコーティング」です。何気なく手に取っているとあまり考える事はなかったのですが、このコーティング作業、実は図書館員の方が手作業で1冊1冊フィルムを貼っているのです。
図書館には非常に多くの書籍があります。これを1冊ずつフィルムを貼っていくとなると・・・考えただけで気が遠くなりそうです。さらに、人の手でフィルムを貼っているので、仕上がりに個人差が出てしまいます。そんな作業をもっと効率的に、時間と手間を短縮できたら・・・。
これが、”eCoaty”開発のきっかけでした。

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プロジェクトスタート
こうして新分野への挑戦は、図書館向け書籍のフィルムコーティング機の開発プロジェクトとしてスタートすることになりました。
メンバーは入社17年(当時)のベテラン・高橋 正明、入社2年目(当時)の橋本雄大の2名です。

staff voice01
ダイワハイテックスが拘っていることは、自社製品であることです。
自分たちで設計開発することに拘り、コミックシュリンカーもオリジナルで創り上げました。
新市場であってもそれは変わらず、オリジナル製品を生み出したいと考えていました。そのためには、型に嵌まらない自由な発想が大切です。そこで、既成概念のない若手社員に任せてみようという話になったのです。
株式会社ダイワハイテックス
設計開発マネージャー
高橋 正明
staff voice02
最初に新製品開発の担当になるという話を聞いたときは、大丈夫かな、という気持ちの方が強かったです。でも、新人の自分たちだけでやるということはなく、マネージャーや先輩達が相談に乗ってくれたり、どうしたらいいのか一緒に考えてくれました。
担当の業務が出来て、自分で考えながら製品化していく、という過程を経験することで、自信に繋がったと思います。若手でもどんどん任せてくれる、それがダイワハイテックスのいいところだと感じます。

株式会社ダイワハイテックス
設計開発担当
橋本 雄大


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試行錯誤の繰り返しから
今まで手作業だった“コーティング”を、作業時間の短縮、仕上がりの均一化を図るため、専用機を開発することになりました。担当は若手社員の橋本。シュリンカーの開発経験もなく、初めての開発です。イメージはあったものの、それをどう形にするかで試行錯誤を繰り返しました。

例えば、フィルムを貼った後にフィルムをカットしなければならないのですが、一見すると単純に見えるこの仕組みが実はとても難しいものでした。考えれば考えるほどフィルムを均一に、美しくカットすることが出来なくなり、試作機を作ってはやり直す、という作業が続きました。そんな一つの壁を乗り越えたのは、なんと入社2年目の若手社員のアイディアでした。

株式会社ダイワハイテックス設計開発マネージャー
高橋 正明
staff voice03
私たちベテラン社員は、豊富な経験と知識を武器に業務にあたるのですが、反面それらにとらわれてしまうことで柔軟な発想が出てこない場合があります。
問題が見つかると、その解決のためにより高度な仕組みを考えてしまう事がままあるのですが、若手社員のシンプルな発想がこの問題解決への最短距離だったのです。
柔軟な思考とシンプルな発想、この2つの大切さを若手社員に改めて気づかされましたね。
staff voice04
僕ら若手には経験や知識がないので、かえって思考がシンプルにならざるを得ない、といった感じでした。
あるときカッターの構造を「もっと単純にしてしてしまったらどうなんだろう?」と思い試作機を作ってみたところ、これが予想以上に上手く動作してくれました。
細かいところは高橋さんにアドバイス頂き、結果的にこの構造を採用し、シンプルで、かつパーツも少ないためコストを抑えることが出来ました。

株式会社ダイワハイテックス設計開発担当
橋本 雄大
こうして大きな壁を乗り越え、”eCoaty”の開発は半年の期間を経て製品化へとこぎつけました。 まさにベテランのノウハウと、若手のフレッシュな発想が融合した、ダイワハイテックスならではの製品となったのです。


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"eCaty"の誕生
こうして誕生した”eCoaty”は、従来の書籍コーティングの作業効率を大幅に改善できる画期的な製品となりました。 その大きな特徴は、「剥離紙を使わないフィルム」によるコーティングが可能であることです。
従来の書籍フィルムは、フィルムから剥がした後の剥離紙が大量のゴミとなってしまう点が問題でした。 この剥離紙は特殊な加工がされているため、紙としての再利用も出来ないため単純にゴミとなってしまうのです。 そこで、ダイワハイテックス独自開発の、剥離紙の無いフィルムを使用することで剥離紙のゴミ発生をゼロにしました。これは同時に、今までフィルと剥離紙を剥がすという作業を行っていた図書館勤務の方の労力を軽減させることにもつながります。
また、ロールと台座を一体化し、さらにフィルムカッターを実装することで個人差を最小に抑え、誰でもきれいにフィルムを貼ることが出来るようになりました。

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“eCoaty(エコーティ)”が完成した直後、図書館関係者が集まる図書館総合展へ出展しました。
実際に使う立場のお客様に製品を見て頂き、直接感想も頂きました。なかなかの高評価で、自分が作ったものが市場に出ていくんだ、と実感が沸き、とても嬉しかったです。
これから販売台数を伸ばしていきたいし、お客様の声を取り入れてもっといい製品にしていきたいと思います。
株式会社ダイワハイテックス設計開発担当
橋本 雄大
”eCoaty”はその後その高い環境性能が評価され、「平成24年度 板橋製品技術対象 環境賞」を受賞致しました。しかし、まだまだ”eCoaty”は発展途中の製品です。今後もベテランと若手の、2つの力が一つになり、より良い製品を世に送り出していきたいと考えています。
